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TIJ 東京日本語研修所

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  教育実習コースの実習生の感想

実習コースを終えて1

隈部直子

昨日の上級クラスのスピーチコンテストに参加させていただき、学生たちの日本語力に驚かされた。先生によると、とても短い時間で内容をまとめ上げたということだったが、伝えたいことを上手に話していたように思う。学生がスピーチの中で話していたように短い人では約1年間で大学入試にまで到達するレベルであり、本人の努力もさることながら、それを支えてきた先生方の指導の技量を思わざるを得なかった。そして、そのことは、この3ヶ月という短い期間ではあったが、私がTIJの先生方から学んだことのように思う。

私は主に中級の2クラスと初級の1クラスの授業に参加し、あるときは一学生のように感じたりしながら、先生方の作り出すクラスの雰囲気の中にいた。日本語を教えるということは、日本人である教師は圧倒的に強者となり、外国人は弱者である。正しい日本語を覚えるためには間違いは直される。どうしても発言は減り、萎縮してしまう。けれどTIJでの授業に関する限り、そういうことはあり得なかった。

最初の中級1の実習で、先生から“教えてやろう”と思わないでね。とまず言われた言葉が、思い出される。先生方の出す例一つとっても、また学生から出たおかしな日本文一つとっても、教室の中というよりも、家庭でやりとりするような柔らかな雰囲気の中で、笑いを交えて学生たちに正しく吸収されていくのである。緊張していたのは、実習生の私ばかりで、学生たちはリラックスできる環境の中で学習していた。こうしたすばらしい環境作りは、教師一人一人の性格も反映してしまうが、TIJでは、先生たちの横のつながりによって、学生を一人一人把握していることによる、学生たちの「わかってもらっている」という安心感もあるのだと思う。

一方、一授業一授業の先生方の闘いは、計画されたものであり、一回一回の到達目標の明確なものであり、学生たちは授業にまじめに参加することによって、一歩一歩日々前進できる内容になっていた。

初級クラスでの実習では、事前の細かなご指導のおかげで、自分でも満足の教案が立てられたと思っていたが、授業を終えてみると(いえ、授業の最中もであるが)予測できなかったことがたくさんあった。焦って言葉を増やしてしまい、かえって訳のわからなくなっていく学生の顔が今も思い出される。日本語の語彙が決定的に少ない初級クラスの学生に対して、知っている言葉、ポーズ、間のとり方、視聴覚教材、それらを上手に組み入れて、その日の新しい学習を成功させることがいかに大変か、経験でやっとわかった次第である。授業のリズムも、各先生方独自のものがあり、先生たちのリズムに乗って学習しているという様子であった。実習中?マークになっていた初級の学生の皆さん、ごめんなさい。

中級2クラスでは反対に学生に突っ込まれて、タジタジになることが数回あった。自分の考えていった例と違う角度から意見を言われ、その場で本当に勉強になっていると感じた。教材分析は、より深く広く行わなくてはいけない。知識も豊富で上を目指している上級者には、ぐいぐい引っ張っていく内容の工夫も大切であることを感じる。新聞記事から、ディベートに持っていく授業では、一人一人を「意見を言いたい」という心情に持っていき、白熱の授業であった。その時の先生は、というと、司会、進行、けれど、全体的にレールからはずれないように、時々修正を入れるくらいなのである。学生は、よく聞き、よく意見を言っていた。本気でしゃべる機会がいかに大切なことであるかがわかる。実生活では、常に実践なのであるから、授業の中でも実践レベルの教材選びが重要になってくる。

久しぶりに家庭の外に出て、長年の錆が少し取れてきたように、学生がわかったときの喜びの顔を見る機会を得て、再びこうした楽しみがあるのだと実感することができたことは、今回の私の大きな収穫であった。このことを一経験で終わらせないように前向きに取り組んでいきたいと思っている。          


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